はじめに:
独立開業の成否は、情熱と“段取り”で決まる
こんにちは♬
『からだ職の「まったり」未来設計ラボ』のTatsuです^^
この記事を読んでいるあなたは、きっと独立開業という、人生を懸けた大きな「決意」をその胸に秘めていることでしょう。
理学療法士として、整体師として、ヨガインストラクターとして、あるいはパーソナルトレーナーとして。
自分の持つ全ての知識と技術を注ぎ込み、理想の城を築き上げたい。
その、燃えるような情熱。
それこそが、夢を現実に変えるための、最も尊いエンジンです。
しかし、僕は、あなたに伝えなければならない、もう一つの残酷な真実を知っています。
独立開業の世界では、情熱だけを燃料にして、闇雲に突き進んだ船は、必ず座礁するということを。
では、何が必要なのか?
答えは、「段取り」です。
あなたのその尊い情熱の炎が、決して消えることのないように。
あなたの船が、確実に、そして安全に、理想の港へとたどり着くための、緻密で愛情のこもった「準備」のことです。
僕自身の告白:
見切り発車で開業し、僕が失った
“1年間”という時間と“数百万円”というお金
なぜ、僕がこれほどまでに「段取り」の重要性を説くのか。
それは、僕自身が、かつて情熱だけを頼りに「見切り発車」で開業し、あまりにも大きな代償を支払った張本人だからです。
僕は、柔道整復師として、自分の腕には自信がありました。
「この技術さえあれば、何とかなるだろう」と。
しかし、経営の知識はゼロ。
僕は、何から手をつければいいのか全く分からないまま、ただ闇雲に目の前のタスクに追われ続けました。
その結果、どうなったか。
- 300万円をドブに捨てた、ホームページ契約の失敗。
- コンセプトが曖昧なまま、誰にも響かない、空回りする集客活動。
- どんぶり勘定の資金計画で、常にキャッシュフローに怯える日々。
開業してからの最初の1年間は、もはや「経営」と呼べるような代物ではありませんでした。
それは、毎日必死に穴の空いたバケツで水を汲み続けるような、ただただ、苦しいだけの「消耗戦」でした。
僕は、この最初の1年間という、かけがえのない“時間”と、無知ゆえに失った数百万円という“お金”を、もし開業前に、この教科書のような「正しい段取り」を知っていさえすれば、失わずに済んだかもしれないのです。
このタスクリストの歩き方:
焦らず、しかし、着実に。
あなたのペースで進めることの重要性
この記事は、そんな僕の後悔と、全ての学びを注ぎ込んだ、未来のあなたへの「贈り物」です。
これは、アイデアの断片を並べた、ただの「やることリスト」ではありません。
独立開業という、複雑で、巨大なプロジェクトを、「開業半年前」から時系列に沿って、あなたが迷うことなく進めるための、具体的な「ナビゲーションシステム」です。
一つだけ、約束してください。
それぞれのステップは、次のステップの土台となるように、緻密に設計されています。
順番を飛ばすと、かつての僕のように、後で大きな手戻りが発生してしまいます。
このリストは、一見すると、圧倒的な量に見えるかもしれません。
しかし、焦る必要は全くありません。
これは、1ヶ月や2ヶ月で終わらせる、短期決戦のスプリントではありません。
半年という時間をかけて、あなた自身のペースで、一つひとつ、楽しみながら、あなたの未来の城の、礎を築いていく。
そんな、「まったり」とした、しかし、確実な旅なのです。
準備はいいですか?
あなたの人生で、最もエキサイティングな、半年間のカウントダウンを始めましょう。
第一部:開業6か月前
土台構築フェーズ
独立を決意した、今のあなたの心の中は、希望とそれと同じくらいの、漠然とした不安で満ちていることでしょう。
この最初の1ヶ月間は、焦って外に走り出す時期ではありません。
あなたの内なる声に耳を澄ませ、未来のあなたの「城」の、揺るぎない「土台」と「設計図」をじっくりと描き上げる、最も重要な期間です。
【最重要】
すべての始まり。
「自分会議」で、あなたの“北極星”を定める
なぜ独立するのか?(理念の明確化)
まず、ノートとペンを用意し、誰にも邪魔されないカフェで、1時間だけ、自分と向き合ってみてください。
そして、この問いに、心の底からの答えを書き出してみましょう。
・あなたは、なぜ独立したいのですか?
「お金のため」
「自由のため」…素晴らしい動機です。
・では、なぜ、お金が欲しいのですか?
・なぜ、自由になりたいのですか?
「家族を安心させたいから」
「自分の学びたいことに、気兼ねなく自己投資したいから」
「病院のルールに縛られず、目の前のお客様にとって、本当に最善だと思うアプローチを、時間を気にせず提供したいから」など。
この、あなただけの純粋な「なぜ」が、これからあなたが困難に直面した時、決して進路を見失わないための、力強い「北極星」になります。
誰を救いたいのか?(ペルソナ設定)
次に、あなたが、その情熱を注いで、救いたいと願う「たった一人の、理想のお客様」の顔を、ありありと思い浮かべてみましょう。
・理学療法士のあなたなら、病院を退院した後も、まだ不安を抱えている、特定の疾患を持った方かもしれません。
・整体師のあなたなら、長年のデスクワークで、心身ともに疲弊しきった、かつての自分のようなビジネスパーソンかもしれません。
・ヨガインストラクターのあなたなら、産後の心と身体の変化に、一人で悩んでいる、近所のお母さんかもしれません。
・トレーナーのあなたなら、怪我を乗り越え、もう一度、最高のパフォーマンスを目指したいと願う、学生アスリートかもしれません。
その人の年齢、職業、家族構成、悩み、そして、人生の夢まで。
その「たった一人」の心を、深く、深く、震わせること。
それが、その他大勢から抜け出す、コンセプト設計の第一歩です。
あなただけの強みは?(USPの発見)
あなたの独立開業は、あなたという「人間」そのものが、商品になります。
あなたの人生の全てが、強みの源泉です。
僕の場合、「柔道整復師×ロルファー™×RYT500ヨガ講師×世界45ヶ国放浪×1000万の借金と300万の失敗×独立開業プチ成功×黄金の羽」…このユニークな経験の掛け算こそが、僕だけの強みです。
あなたも、自分の「資格」「臨床経験」「人生経験」を全て書き出し、それを、先ほど設定したペルソナの悩みを解決するために、どう活かせるか、という視点で掛け合わせてみてください。
お金の不安を「見える化」する。
最初の資金計画
「お金」に対する漠然とした不安は、その正体を「見える化」することで、対処可能な「課題」に変わります。
あなたが「心穏やか」に暮らすための
「最低生活防衛資金」を計算する
これは、開業後、万が一売上がゼロでも、あなたが安心して生きていくための「命綱」です。
(毎月の家賃+食費+光熱費+通信費+保険料+生活品費+その他)× 6ヶ月分
まずは、この金額を、絶対に手を付けないと決めた銀行口座に貯めることを、最初のゴールにしましょう。
開業資金はいくら必要?
「テナント」と「自宅サロン」2つのパターンで、
ざっくりとした概算を出す
- テナント開業の場合: 物件取得費(家賃の半年〜10ヶ月分)+内装工事費+備品代。
安くても300万円は見ておく必要があります。 - 自宅サロン開業の場合: 物件取得費と内装費が、ほぼゼロになります。
備品代と広告費で、50万〜100万円からでもスタート可能です。
どちらの道を選ぶかで、必要な資金が全く変わることを、まず理解しましょう。
自己資金と、融資の可能性。
資金調達の選択肢を知る
上記の資金を、どうやって用意するか。
- 自己資金: 多ければ多いほど、あなたの心の平穏に繋がります。
- 日本政策金融公庫からの融資: 開業するほとんどの人が利用する、最も信頼できる選択肢です。
あなたの理学療法士や柔道整復師といった国家資格は、ここで大きな信用力となります。
まずは公式サイト(https://www.jfc.go.jp/)を眺めて、「自分も、ここから借りるんだな」と、イメージを持つだけで十分です。
【僕の最大の教訓】
Web上の“土地”を、今すぐ確保する
なぜ、開業“半年前”からホームページが必要なのか?
SEOの真実と、僕の300万円失敗談
僕の起業人生、最大の失敗は、開業直前に、焦って300万円のホームページ契約を結び、全く集客できなかったことです。
その失敗から学んだ、最も重要な教訓。
それは、「ホームページは、オープンと同時に、最高の状態で走り出せるように、半年前からじっくりと育てておくべき」ということです。
Googleがあなたのサイトを認識し、信頼し、検索結果の上位に表示してくれるまでには時間がかかります。
この「時間の壁」だけはお金では買えません。
だからこそ、今すぐ始めるのです。
あなたの城の「住所(ドメイン)」と「土地(サーバー)」の契約方法
あなたのWeb上の「城」を建てるための、住所と土地。
僕が、数ある選択肢の中から、長年使い続け、心からおすすめできるのが「エックスサーバー」です。
理由は、サイトの表示速度、安定性、そしてサポート体制の、圧倒的な信頼感からです。
キャンペーンを利用すれば、ドメインが永年無料になることもあります。
エックスサーバー公式サイト: https://www.xserver.ne.jp/
まずは1ページでOK。
「トップページ」の作成と、ブログの第一歩
ドメインとサーバーを契約し、WordPressをインストールする。
その具体的な手順は、最初は少し難しく感じるかもしれません。
しかし、今は、非常に分かりやすい解説サイトがたくさんあります。
例えば、以下のサイトなどは、初心者の方でも、手順通りに進めれば、必ず設定できるはずです。
参考サイト例: 【超初心者向け】WordPressブログの始め方(エックスサーバー)(ここから解説動画に飛べます)
そして、まずは「お店の看板ページ」としてトップページを制作し、世界に向けて公開しましょう。
これが、あなたの独立開業という、壮大な物語の、記念すべき、そして、何よりも力強い最初の一歩となるのです。
第二部:開業5~4カ月
設計図完成フェーズ
開業まで、あと半年を切ったタイミング。
この期間は、あなたの頭の中にある、ぼんやりとした理想のイメージを、誰が見ても理解できる、具体的で、揺るぎない「設計図」へと、落とし込んでいく作業です。
ここを乗り越えれば、あなたの独立開業は、もはや単なる夢ではなく、達成可能なプロジェクトへと変わります。
「事業計画書」という名の、
未来への設計図を完成させる
これは、融資を受けるためだけのものではありません。
あなた自身が、自分のビジネスの、最初の“ファン”になるための、最も重要な儀式です。
日本政策金融公庫のテンプレートを使おう
事業計画書の書き方に、決まった正解はありません。
しかし、どこから手をつけていいか分からない、という方は、日本政策金融公庫が提供しているテンプレートを「たたき台」にするのが、最も確実で、効率的です。
このテンプレートは、融資のプロが「これを知りたい」という項目を網羅しているため、これを埋めていくだけで、あなたの事業計画の骨子が、自然と固まっていきます。
日本政策金融公庫 創業計画書ダウンロードページ: https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_sogyo.html
融資担当者に「この人を応援したい」と思わせる「事業理念」の書き方
事業計画書の中で、数字以上に重要なのが、あなたの「想い」です。
「なぜ、あなたは、この事業を始めたいのか?」 第一部で見つけた、あなたの「北極星」を、ここですべて、正直に、熱く語ってください。
あなたの個人的な体験、お客様への想い、この仕事を通して、社会にどんな価値を提供したいのか。
融資担当者も、人間です。
最終的に、彼らの心を動かすのは、完璧な数字ではなく、あなたの揺るぎない「情熱」です。
失敗談から学ぶ、現実的な「収支計画」の立て方
僕の失敗談: 僕は最初の事業計画で、あまりにも楽観的な売上予測を立て、運転資金の計算を甘く見ていました。
その結果、開業後の数ヶ月間、常にキャッシュフローの不安に怯えることになりました。
収支計画で最も重要なのは、「最悪の事態」を想定しておくことです。
- 売上: 最初の3ヶ月は、あなたの目標の30%程度しか達成できない、という前提で計画を立てましょう。
- 経費: 忘れてはいけないのが、「見えない経費」です。
賠償責任保険料、会計ソフトの利用料、クレジットカードの年会費、そして、あなた自身の社会保険料や税金。
これらを漏れなく計上し、現実的な利益を算出してください。
法律と手続きの確認。
あなたを守るための知識武装
独立とは、自由であると同時に、全てが自己責任の世界です。
「知らなかった」では済まされない、あなた自身を守るための、最低限の知識を身につけましょう。
「開業届」と「青色申告承認申請書」の準備と、提出のベストタイミング
開業届は、事業を開始してから1ヶ月以内に、管轄の税務署へ提出します。
そして、絶対に、絶対に忘れてはいけないのが、「青色申告承認申請書」を、同時に提出することです。
これを出すだけで、最大65万円の特別控除が受けられるなど、絶大な節税メリットがあります。
出さなければ、あなたは毎年、何十万円も、余計な税金を払うことになります。
理学療法士・柔道整復師…あなたの資格で、保健所への届出は必要か?
これは、地域や、提供するサービス内容によって、判断が分かれる、非常にデリケートな問題です。
例えば、「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復」を行う場合は、「施術所開設届」を保健所に提出する義務があります。
一方で、「整体」や「カイロプラクティック」など、法的な資格制度のないサービスの場合は、届出が不要なケースが多いです。
しかし、これも自治体によって見解が異なる場合があります。
結論:必ず、あなたの開業予定地の管轄の「保健所」に、事前に電話で確認してください。
これが、最も確実で、安全な方法です。
賠償責任保険のリサーチと選定。
絶対にケチってはいけない理由
万が一の施術事故から、あなたと、お客様の両方を守るための、最後の砦です。
独立開業するということは、病院という大きな傘から出て、一人で嵐に立ち向かうということです。
保険は、そのための、最低限の「ヘルメット」です。
複数の保険会社の資料を取り寄せ、補償内容をじっくり比較検討しましょう。
Web集客の基盤作りを、本格化させる
いよいよ、あなたの城の「設計」と「建設準備」を、本格的に進めていきます。
【ステップ1】まず“文章”を書く。
WixやJimdoで、ホームページの“下書き”を作る
いきなり本格的なホームページを作ろうとすると、デザインと文章作成という、2つの大きな作業に圧倒され、挫折してしまいます。
そこで、ご提案いただいた通り、まずはWixやJimdo、ペライチといった、無料で簡単に使えるサービスで、「文章」と「構成」を先に固めてしまいましょう。
「コンセプト」「プロフィール(あなたの物語)」「サービス・料金」「お客様の声(もしあれば)」 これらのページの「テキスト原稿」を、まず完成させることに、集中してください。
【ステップ2】“器”を選ぶ。
なぜ、本番サイトはWordPress一択なのか?
下書きが完成したら、いよいよ、その魂を込める「器」を選びます。
そして、長期的な「Web資産」を築くという観点では、その選択肢はWordPress一択です。
なぜなら、Wixなどのクラウド型サービスは、月々の利用料が高く、サービスが終了すればあなたのサイトも消えてしまう「賃貸マンション」であるのに対し、WordPressは、月々数百円〜という圧倒的な低コストで、あなたが完全に所有権を持つ「土地付き一戸建て」だからです。
(このテーマは、別の「幹」の記事で、さらに詳しく解説しますね)
【ステップ3】“城”を築く。
プロに依頼するか、自分で建てるか
この段階で、あなたには2つの選択肢があります。
- 完成した「テキスト原稿」を基に、プロのホームページ制作者に依頼する。
原稿があるので、コミュニケーションはスムーズに進み、制作費用も安く抑えられる可能性があります。 - WordPressのテーマ(デザインテンプレート)を使い、あなた自身で、サイトを構築してみる。
Googleビジネスプロフィールの登録と、最適化の準備
ホームページと並行して、もう一つの重要なWeb資産、「Googleビジネスプロフィール」の準備も始めましょう。
これは、Googleマップ上にお店の情報を表示させるための、無料のツールです。
登録方法自体は、画面の指示に従えば、それほど難しくありません。
以下の公式サイトや、解説サイトを参考に、まずはアカウントを作成してみましょう。
Googleビジネスプロフィール 公式サイト: https://www.google.com/intl/ja_jp/business/
参考解説サイト: (※ここで、あなたが信頼できると感じる、最新の、分かりやすい解説サイトへのリンクを貼ります)
この3ヶ月間の緻密な「設計」が、あなたの起業という、壮大な建築物を、決して揺らぐことのない強固なものにしてくれるのです。
第三部:開業3か月前~1か月前
実行・準備フェーズ
開業まで、あと3ヶ月。
この期間は、これまで練り上げてきた「設計図」を、現実世界の一つひとつの「モノ」や「契約」へと、着実に落とし込んでいく、行動のフェーズです。
やるべき事は多岐にわたりますが、一つひとつ、焦らずに進めていきましょう。
あなたの“城”となる、
「物件」を決める
あなたの理念を体現し、お客様をお迎えする、最も重要な「場所」を決定します。
自宅サロンか、テナントか。
最終決定
第一部、第二部で進めてきたリサーチと計画に基づき、あなたの起業スタイルを最終決定します。
僕からのアドバイス:
もし、少しでも迷いがあるなら、まずは「自宅サロン」や、後述する「レンタルサロン」から、極限までリスクを下げてスタートすることをお勧めします。
僕自身、開業当初の過大な借金で、精神的に追い詰められた経験があります。
ビジネスは「大きく始める」ことよりも、「長く続ける」ことの方が、遥かに重要で、そして尊いのです。
賃貸契約の注意点。
僕が契約書で必ずチェックする7つの項目
理想の物件が見つかっても、決して舞い上がってはいけません。
契約書という、法律の文書と、冷静に向き合う必要があります。
- 用途制限:
「住居専用」となっていないか。
「店舗利用可」「SOHO可」となっているかを、改めて確認。 - 契約期間と更新条件:
「普通借家契約」か「定期借家契約」か。
後者は原則として契約更新ができないため、長期的な運営を考えるなら注意が必要です。 - 原状回復義務の範囲:
「どこまで元に戻す必要があるのか」を、契約前に、写真などを撮って貸主と明確に合意しておくこと。
これが、退去時に最もトラブルになりやすい項目です。 - 保証金(敷金)の返還条件:
退去時に、いくら返ってくるのか。
償却(返ってこない分)の割合を必ず確認します。 - 禁止事項:
看板の設置場所や大きさ、音の問題など、あなたの事業に支障が出るような禁止事項がないか。 - 修繕義務の所在:
エアコンや給湯器が壊れた場合、修理費用はどちらが負担するのか。最初から設置されている場合、基本は貸主の負担となります。 - 解約予告期間:
万が一、撤退する場合、何か月前に告知する必要があるか。
内装業者との打ち合わせと、デザインの確定
複数の業者から、必ず「相見積もり」を取りましょう。
そして、あなたの「コンセプト」を、正確に伝えるための準備をします。
僕のおすすめ: Pinterest(https://www.pinterest.jp/)などのサイトで、あなたの理想のスタジオのイメージに近い写真を10枚ほど集め、「イメージボード」として業者に見せると、言葉で説明するよりも、遥かに正確に、あなたの世界観が伝わります。
事業用のツールとインフラを整える
あなたの事業を、スムーズに、そして効率的に動かすための「神経網」を整えます。
事業用銀行口座の開設と、クレジットカードの申し込み
個人の口座と、事業の口座は、分けることをおすすめします。
これにより、後々の確定申告が、驚くほど楽になります。
ネット銀行(楽天銀行、住信SBIネット銀行など)は、手数料が安く、スマホでの管理もしやすいので、個人事業主の最初の口座としておすすめです。
電話番号、ネット回線の契約
固定電話は、必ずしも必要ではありません。
最初は、あなたの携帯電話で十分です。
それよりも、お客様がオンライン予約をしたり、あなたがWeb集客の作業をしたりするための、高速で、安定したインターネット回線の方が、100倍重要です。
最安は、「日本通信SIMの20G使い放題+5分以内の電話かけ放題」がおすすめだと思います。
予約システムと会計ソフトの選定【無料ツールも紹介】
あなたの貴重な時間を、雑務から解放してくれる、最強のパートナーを選びましょう。
【予約システム】
- 整体師やトレーナーなど、1対1のパーソナルセッションがメインの場合: LINE公式アカウントのチャット機能で、十分に管理可能です。
無料で始められ、お客様とのコミュニケーションも密になります。 - ヨガやピラティスなど、複数人のグループレッスンを運営する場合: LINEの拡張ツールである「ポチコ」(https://pochico.jp/)などがおすすめです。
LINE上で、グループレッスンの予約管理や決済までを、安価に自動化できます。
その他、STORES予約やSelectTypeといった、高機能な予約システムも人気があります。
【会計ソフト】
確定申告の悪夢からあなたを解放してくれる、必須ツールです。
- 僕も愛用している「マネーフォワード クラウド確定申告」(https://biz.moneyforward.com/tax_return/)が、銀行口座やクレジットカードと自動連携できて、圧倒的に楽なのでおすすめです。
- 同様に、「freee(フリー)」(https://www.freee.co.jp/)も、初心者向けの分かりやすさで、非常に人気があります。
開業資金の調達を、実行に移す
いよいよ、設計図を「現実のお金」に変える、最も緊張するステップです。
日本政策金融公庫への、
融資申し込みと面談対策
第二部で完成させた事業計画書を手に、申し込みを行います。
その後の面談は、あなたの「試験」ではありません。
あなたの事業の、最初の「プレゼンテーション」の場です。
僕の経験談:
僕も、面談当日は、心臓が口から飛び出しそうなくらい緊張しました。
しかし、担当者の方は、僕を落とそうとしているのではなく、「この事業は、本当に成功する可能性があるのか?」を、パートナーとして、真剣に見極めようとしてくれていました。
大切なのは、完璧な数字よりも、あなたの言葉で、あなたの事業への「熱意」と「覚悟」を、誠実に伝えることです。
補助金・助成金の申請準備(小規模事業者持続化補助金など)
これらの多くは、公募期間が限られています。
中小企業庁が運営する支援サイト「ミラサポ」(https://www.mirasapo.jp/)や、あなたの地域の商工会議所のサイトを定期的にチェックし、チャンスを逃さないようにしましょう。
しかし、補助金は非常に「面倒」と感じるケースが多いです。
しかし、法人では、「返さなくていい500万円」が給付されました。事業規模によっては、数千万の給付が受けられます。
一度わかってしまえば大丈夫でしょうが、初めての方には「地獄」に感じる可能性が高いのは事実ですが、トライする価値はあります。
このフェーズは、決断と、行動の連続です。
しかし、一つひとつを、リストをチェックするように着実にこなしていけば、あなたの「理想」は、確実に「現実」へと姿を変えていきます。
第四部:開業1カ月前~オープン当日
最終準備フェーズ
開業日まで、あと1ヶ月。
あなたの長かった準備期間は、もうすぐ終わります。
この最終月は、新しいことを始める時間ではありません。
これまで計画してきたことの「実行」と「最終確認」に、全てのエネルギーを集中させる期間です。
備品の準備
あなたの「城」に、魂を吹き込むための、物理的な準備です。
施術ベッド、トレーニング機器等の発注と搬入
- マルチタイプトレーニングマシン:50~80万
- 高精度体組成計:30~100万
- ピラティスリフォーマー:25~50万
- 施術ベッド:1~5万
- 高品質ヨガマット:1万
- 空気清浄機:1万円
- レジスター:1万円
高額な備品は、このタイミングで納品し、オープン日の最低でも1週間前には、搬入を完了させましょう。
(特にトレーニングマシンやリフォーマーなどは海外から貨物船で運んでくるケースも多いので、3~6か月前には受注し、納品タイミングを確定させるとよいです。)
僕からのアドバイス:
友人のトレーナーが開業した時の話です。
彼は、美しい海外製のピラティスリフォーマーを発注しましたが、搬入当日、そのマシンがビルの階段を通らないことが発覚しました。
結局、クレーンで窓から搬入することになり、数十万円の追加費用がかかりました。
搬入経路の確認は、絶対に、絶対に、忘れないでください。
タオル、消耗品、什器などの買い出しリスト
以下のリストを参考に、あなたのお店に必要なものを、チェックしていきましょう。
【必須アイテム】
- □ キャッシュレス決済機材
- □ フェイスタオル、バスタオル
- □ 消毒用アルコール、ウェットティッシュ
- □お客様用のお着替え / レンタルシューズ
- □ スリッパ、ハンガー、傘立て
- □ 清掃用品、トイレ掃除用品
【予算があれば揃えたいアイテム】
- □ 高品質なスピーカー(JBLやBOSEの1~2万円程のBluetoothスピーカーがおすすめです。)
- □ お客様にお出しする、こだわりのハーブティー、ミネラルウォーター
- □ おしゃれなウェルカムボード、コートラック
僕の経験談:
タオルの肌触りなど、客様の満足度に影響するものは、少し良いものを用意することをおすすめします。
僕は、少しだけ奮発して上質なものを選んでいます。
BGM、アロマなど、五感に訴える空間演出のための準備
お客様は、あなたの技術だけでなく、「空間」にも癒されます。
- BGM: 著作権フリーの音源サイトや、Spotifyなどの音楽配信サービスで、あなたのサロンのコンセプトに合った、長いプレイリストを作成しておきましょう。
- アロマ: あなたのサロンの「香り」を決めましょう。
ラベンダーやオレンジスイートなど、リラックス効果の高い香りがおすすめです。 - 照明・室温: 暖色系の、調光可能な照明を用意し、お客様が常に「心地よい」と感じる室温を保つ準備を。
集客・運営の最終準備
物理的な準備と並行して、お客様をお迎えするための「仕組み」を完成させます。
ホームページの完成と、本公開 【最重要】
ホームページは、オープン当日に慌てて公開するものではありません。
あなた自身で作りきる場合も、業者に依頼した場合も、オープン日の最低でも1ヶ月前、理想は3ヶ月前には、全てのページを完成させ、本公開しておきましょう。
(※準備万全の状態で挑みたい方は開業6か月前までにホームページを完成させましょう。
検索結果に表示されるまで、1~6か月かかるとされているためです。
また、検索上位表示を狙う為には半年から1年間かかると言われているので、ホームページの完成は早ければ早いほど良いです。)
ホームページのトップページに、「オープンは○月〇日-事前予約受付中」と書いておけば、オープン半年前からホームページを公開していることは、何も問題ではありません。
僕の失敗談:
僕は、オープン前夜に、自分のホームページの電話番号が間違っていることに気づきました。
あの時の、血の気が引くような感覚は、今でも忘れられません。
早く公開し、友人などにチェックしてもらう時間的余裕が絶対に必要です。
Googleビジネスプロフィールの登録と、口コミ依頼の準備
Googleビジネスプロフィールを登録し、お客様に口コミをお願いするための、「QRコード付き名刺」などを用意しておきましょう。
また、ビジネスプロフィールには、正しい営業時間や電話番号、ホームページURL、サービス内容と価格などを記載し、できるだけ多くの写真をアップさせましょう。
プレオープン(友人・知人向け)の実施と、オペレーションの確認
オープン日の1〜2週間前に、あなたの友人や、応援してくれている知人を「最初のお客様」として招待し、本番さながらの「リハーサル」を行いましょう。
目的:
予約を受ける→来店→カウンセリング→セッション・レッスン→会計→お見送り、という、お客様の一連の流れ(オペレーション)に、何かスムーズでない点はないか、最終確認をします。
最大のメリット:
このプレオープンに参加してくれた、あなたの応援団である友人たちに、「Googleマップに、最初の口コミを書いてほしい」と、お願いするのです。
これにより、あなたは、オープン当日を迎える前に、すでに複数の、温かい5つ星レビューが投稿されている、という、圧倒的に有利な状態で、スタートを切ることができます。
開業告知(プレスリリース、SNS、近隣へのチラシ)の開始
オープン日の1〜2週間前から、いよいよ、あなたの城の誕生を、世界に知らせます。
- SNS: 「〇月〇日、オープンします!」という、正式な告知を開始。
完成した美しい内装の写真などを投稿し、期待感を高めます。 - 近隣へのチラシ: コンセプトに合った、洗練されたデザインのチラシを作成し、近隣の住宅やオフィスにポスティングします。
あなた自身の、心と身体の準備
そして、これが、最も見落とされがちで、最も重要な準備です。
開業前だからこそ、意識的に「何もしない日」を作る勇気
オープン直前は、やるべきことが無限にあるように感じ、多くの人が、睡眠時間を削って、準備に追われます。
しかし、それは最悪の選択です。
開業当日の、あなたの最高の資産は、ピカピカの施術ベッドではありません。
あなたの、穏やかで、エネルギーに満ち溢れた「心」と「身体」です。
オープン前の3日間は、意識的に、仕事から完全に離れる日を作ってください。
開業日に、最高の自分でいるための、メンタルコントロール術
僕の経験談:
開業日の前日、僕は、仕事道具に一切触れませんでした。
近所の公園を、ただただ、ゆっくりと散歩し、家族と温かい食事をし、夜は9時に寝ました。
その「何もしない」時間が、僕の心を、最高の平穏で満たしてくれました。
開業当日の朝、僕は、不安ではなく、心からの「ワクワク」と共に、目覚めることができたのです。
開業日は、あなたの新しい物語の、記念すべき1ページ目です。
最高のコンディションで、そのページの最初の文字を、刻み込みましょう。
終章:
タスクリストの終わりと、
あなたの物語の始まり
ここまで、本当にお疲れ様でした!
半年前には、まだ漠然とした「夢」でしかなかったあなたの独立開業が、今、目の前にある具体的な「現実」として、その輪郭をはっきりと現したのではないでしょうか。
この長いリストを、一つひとつ、着実にクリアしてきたあなたは、もはや、独立への不安に震えていた、かつての「準備中の人」ではありません。
あなたは、明確な理念という名のコンパスと、緻密な計画という名の海図を手に、自分の船を、自分の意志で、大海原へと漕ぎ出す準備ができた、勇敢な「事業家」です。
開業はゴールではない。
壮大な「プロセス」の、本当の始まり
しかし、忘れないでください。
それは、あなたの人生という、壮大で、終わりなき「プロセス」の、本当の始まりの合図に過ぎないのです。
開業準備という、嵐のような航海を終えたあなたの船は、今、静かで、穏やかな港にいます。
しかし、その港の外には、
「自分の技術が、昨日よりも深まっていく喜び」
「経営者として、新しい壁にぶつかり、それを乗り越える成長」
といった、予測不能で、しかし、エキサイティングな冒険に満ちた、どこまでも広がる大海原が、あなたを待っています。
これからは、売上や目標という「目的地」に一喜一憂する旅ではなく、その航海の「道のり(プロセス)」そのものを、心の底から楽しんでいきましょう。
このラボが、あなたの開業後の旅路も、伴走し続ける理由
その、終わりなき、しかし幸福な旅路において。
この『未来設計ラボ』が、あなたの、信頼できる「伴走者」であり続けたいと、僕は心から願っています。
なぜなら、独立開業した理学療法士、整体師、ヨガインストラクター、トレーナーが、本当に直面する困難は、実は、開業した“後”にこそ、訪れるからです。
- 「燃え尽き」ずに、情熱を燃やし続けるには?(まったり経営術)
- お客様との「信頼」を、どうやって利益に変えていくか?(静かなWeb集客)
- 施術収入だけに頼らない、本当の「経済的自由」を、どう築くか?(からだ職の資産設計)
このラボは、あなたの起業という船出を見送るだけでなく、その後の、長い、長い航海の全てを照らし続ける「灯台」として、これからも、あなたと共にあり続けます。
最後まで長い文章を読んでくださり、ありがとうございました^^
ーTatsu


