はじめに:
月商100万円の“ゴールテープ”の先に、本当にあった景色
こんにちは。
『からだ職の「まったり」未来設計ラボ‐リベレイス』のTatsuです♪
あなたの心の中では、独立開業という未来への熱い情熱が、最も熱く燃えている時期かもしれませんね。
「予約の取れない、地域No.1の人気店になる!」
私たち理学療法士、整体師、ヨガインストラクター、トレーナーが起業の際に掲げる、そういった輝かしいゴール。
そのゴールテープに向かって、歯を食いしばり、脇目も振らずに走り続けること。
それこそが、「成功」への唯一の道だと、信じて疑わないかもしれません。
しかし、もし僕が、「そのゴールテープを切った瞬間、あなたは本当の“絶望”を味わうかもしれない」と言ったら、あなたはどう思いますか?
僕自身が、かつて、そのゴールテープを、血の滲むような努力の果てに切り、そして、その先に広がる景色に、愕然とした、痛みを伴う実体験から得た、極めて重要な真実なのです。
この記事は、「成功」という言葉の呪いに囚われ、走り疲れ、道を見失いかけている、かつての僕のような、あなたに宛てた手紙です。
本当の「成功」とは、一体何なのか。
その答えを、一緒に、探求していきましょう。
僕自身の告白:
予約満杯、売上最高の日に、
僕が“絶望”した理由
開業して3年目の、ある晴れた火曜日のことでした。
その日も、僕のスタジオの予約表は、朝9時から、夜10時まで、隙間なく、お客様の名前で、びっしりと埋まっていました。
そして、その日の終わり、僕は、開業以来の過去最高の「日商」を記録しました。
数字の上では、それは、僕の人生で最も「成功」した一日でした。
友人や、家族に報告すれば、きっと誰もが「すごいね!」と褒め称えてくれたでしょう。
しかし、その日の夜、一人静まり返ったスタジオで、僕は、達成感とは全く無縁の凍えるような感情に支配されていました。
それは、「虚しさ」、そして、「絶望」でした。
なぜか?
その日一日を、振り返ってみたのです。
僕は朝から晩まで、機械のように動き続けました。
昼食は、5分で、デスクでおにぎりをかき込みました。
僕は、誰の顔も、誰の物語も、本当の意味で心に刻むことができていなかったのです。
そして、その日、最高の売上を叩き出した僕の手元には、疲弊しきった身体と、空っぽの心だけが残っていました。
僕は、壁に貼られた、明日も、明後日も、そして、来月も、同じように、びっしりと埋まった予約表を、ただ呆然と眺めていました。
その瞬間、僕の心を、突き刺した、問い。
「…これか?」
「僕が、安定した職場を辞め、1000万円もの借金を背負い、家族との時間を犠牲にしてまで、手に入れたかった“成功”の正体はこれだったのか?」
「この終わりのない、息苦しい毎日を、僕はこれから死ぬまで続けていくのか?」
その問いに、僕の心は「NO」と叫び声を上げていました。
それこそが、僕が売上最高の日に味わった「絶望」の正体でした。
この記事が、あなたの「成功」の定義を、
永遠に書き換える“処方箋”になる
この、あまりにも苦い経験から、僕は、自分自身に問い直しました。
本当の「豊かさ」とは、何か。
本当の「成功」とは、何か、と。
この記事は、その、長く、そして時に、痛みを伴う僕自身の探求の旅の記録です。
そして、それはあなたの「成功」という言葉のOS(オペレーティングシステム)を根本から永遠に書き換えるための哲学的な「処方箋」でもあります。
「ひたすらに、ゴールテープを目指して走り続ける」という苦しいマラソンから降りて、
「道端に咲く、美しい花を愛でながら、一歩一歩を味わいながら歩き続ける」という、穏やかで、しかし、どこまでも豊かな旅へ。
もしあなたが今、僕がかつていたように、終わりのない競争に疲れ、自分らしい心からの成功の形を模索しているのなら。
この、長い、しかし、あなたの経営と人生に、本当の「豊かさ」を取り戻すための、静かな思索の旅に少しだけお付き合いいただけないでしょうか。
次の章から、その具体的な「処方箋」の中身についてお話ししていきます。
第一章:「状態」としての成功
―なぜ、僕たちは走り続ける“ランニングマシン”から降りられないのか―
序章で、僕は、予約満杯、売上最高の日に、深い“絶望”を感じた、という、矛盾に満ちた物語をお話ししました。
「成功」という名の山の頂上に立ったはずなのに、なぜ、僕の心は、あれほどまでに、冷たく、そして、渇いてしまっていたのでしょうか。
それは、僕たちが、学校で、社会で、そしてこの業界で、「成功とは、達成すべき“状態”である」と、深く、深く、刷り込まれてしまっているからです。
この章では、その私たちを幸福から遠ざける、強力な「呪い」の正体を、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。
「〇〇さえ達成すれば…」という、
決して来ない“明日”を追い求める罠
「もっと、売上が上がれば、家族を、もっと幸せにできるはずだ」
「もっと、フォロワーが増えれば、指導者として、自信が持てるはずだ」
私たち理学療法士や整体師、ヨガ・ピラティスインストラクター、パーソナルトレーナーは、真面目で、責任感が強いからこそ、常にこのように「if-then(もし〜なら、〜になる)」という思考で、未来の幸福を、追い求めがちです。
その「何か」を手に入れれば、いつか、幸福という名の“明日”がやってくる、と。
しかし、この思考法には、大きな罠が潜んでいます。
それは、「今の自分は、まだ不十分である」という、無意識の“自己否定”を、毎日、毎日、自分自身に言い聞かせているのと同じことだからです。
今の自分を、常に未来の理想と比較し、その「差」ばかりを見つめ続ける。
私たちの心は、終わりのない「欠乏感」という名の、砂漠を、さまよい続けることになるのです。
心理学が教える
「ヘドニック・トレッドミル現象」の
残酷な真実
そして、その砂漠の先で、私たちを待っているのは、オアシスではありません。
「限界効用の逓減(ていげん)」
「レジリエンス」という名の、残酷な現実です。
人間の脳は、どんなに大きな幸福も、すぐに「当たり前」に感じてしまうように、悲しいかな、設計されています。
まるで、ランニングマシンの上でどれだけ必死に走っても、景色は一向に変わらないように。
独立開業した、あの日々のことを思い出してみてください。
・初めて、見知らぬお客様から、予約の電話が鳴った、あの日の、心臓が飛び出しそうなほどの感動。
・初めて、月商30万円を達成し、自分の力で生きていける、と確信した、あの日の、震えるような喜び。
それらは、確かに、あなたの人生で、最も輝かしい瞬間だったはずです。
しかし、いつしか、それらは「当たり前」の日常になり、
次は、100万。
次は、新店舗…。
私たちは、無意識のうちに、さらに高い目標という名の、新しいランニングマシンに、自ら乗り換えてしまうのです。
そして、気づけば、また同じ景色の中で、息を切らしながら走り続けている自分に愕然とするのです。
ゴールテープの先にある、
新しい“地平線”と終わらないレース
僕が、「月商100万円、年商1000万越え、さらには、純利益で年間1000万越え」という、
かつて夢にまで見たゴールテープを切ったあの日。
その喜びは、ほんの数日しか続きませんでした。
すぐに僕の頭をよぎったのは、「来月も、これを維持しなければ。いや、もっと上を目指しなければ」という、新しい、そしてさらに重いプレッシャーでした。
成功を「状態」と定義する限り、私たちのレースに終わりはありません。
どれだけ進んでも、水平線は、常に、同じ距離に、あり続けるのです。
「状態」を追い求めると、
今の「瞬間」が犠牲になる
そして、この終わりのないレースの最大の悲劇。
それは、未来のゴールばかりを見つめていると、私たちは今この瞬間にしかない「かけがえのない豊かさ」を全て見過ごしてしまう、ということです。
- 目の前のお客様の、ふとした笑顔。
- 窓から差し込む、柔らかな木漏れ日。
- 仕事終わりに飲む、一杯のコーヒーの香り。
- 子供の、屈託のない寝顔。
人生とは、未来のどこかにある「点」ではなく、今この瞬間の「連続」でできているはずなのに。
私たちは、「いつか、幸せになるため」に、最も大切な「今の幸せ」を、毎日、毎日、無意識的に犠牲にし続ける傾向があるのです。
【職種別】
からだ職が陥りがちな「状態」の呪い
この「状態」を追い求める呪いは、私たちの職種ごとに、少しずつ違う仮面を被って現れます。
理学療法士・整体師:
「ゴッドハンド」という名の、終わらない技術の探求と幻想
あなたは、「どんな難解な症状でも、一瞬で根本から改善できる」という、伝説の「ゴッドハンド」という“状態”を、追い求めてはいませんか?
その、どこまでも高い理想と探求心は、あなたを素晴らしい臨床家へと成長させます。
しかし、同時に、その理想は、「今の自分は、まだ不十分だ」という、終わりのない自己否定を、あなたに与え続けます。
神秘的なゴッドハンドは幻想です。
「代償性筋緊張の生理学や運動制御理論、軟部組織の変性に対する生理学」を知識として身に着けることで「ゴッドハンド」的な施術は可能になりますが、「変形性膝関節症」で「完全なる関節変形による痛み」などは、オペが最適です。
徒手療法では無理だと考えています。
僕からすると、「なんでも改善させる」方よりも「適正に検査/評価」が可能な方のほうが、ゴッドハンドに近い存在だと思っています。
ヨガ・ピラティス講師:
「完璧な指導者」という名の、重すぎる鎧
あなたは、「心身ともに、常に穏やかで美しく、そして全ての生徒から尊敬される」という、「完璧な指導者」という“状態”を、演じようとしてはいませんか? その、美しく気高い姿は、多くの生徒を魅了するかもしれません。
しかし、その重すぎる「完璧という名の鎧」は、あなたの、人間らしい弱さや、ありのままの姿を隠してしまい、あなたを孤独にしていくのです。
やはり、着飾りすぎるのは、心理的な疲弊を生み、満足度を低下させる傾向があると思っています。
パーソナルトレーナー:
「必ず結果を出す」という名の、無限責任
あなたは、「担当した全てのクライアントを、必ず目標達成へと導く」という、「100%の結果」という“状態”を、自分に課してはいませんか?
その強い責任感は、あなたの最大の武器です。
しかし、お客様の人生の、全ての変数をあなたがコントロールすることは不可能です。
その「無限責任」のプレッシャーは、やがて、あなたの心を、押し潰してしまうでしょう。
そもそも、先天性/遺伝性のホルモンバランスなどで、太りやすい方、痩せやすい方はいると思います。
それら、ホルモンの状態、自律神経による反射-過食の問題、ストレスの問題などで食事は大きく影響を受けるという知識を、クライアント様にしっかり伝えた上で、やさしく伴走するくらいのスタンスを持ち合わせることで、心理的負担が減少すると思っています。
ここまで、私たちは、「状態」としての成功が、いかに私たちを幸福から遠ざけるかを見てきました。
では、私たちは一体何を目指せばいいのでしょうか。
次の章では、いよいよこの終わりのないランニングマシンから降りるための、新しい「成功」の定義について、お話しします。
第二章:
「プロセス」としての成功
―“道のり”そのものに、宝物を見つける―
第一章で、私たちは、「状態」としての成功——
つまり、「月商〇〇万円」や「予約の取れない人気店」といった、輝かしいゴールテープが、いかに私たちを幸福から遠ざけ、終わりのない消耗戦へと駆り立てるかを見てきました。
「ゴールがなければ、どこへ向かって歩けばいいのか?」
その、あまりにももっともな問いに対する、僕からの答え。
それは、「目的地」ではなく、「道のり」そのものを目的にする、という、意識の大革命です。
視点を「目的地」から
「今、踏み出している一歩」へ移す、
意識の革命
僕が、燃え尽き症候群という、暗いトンネルの中で気づいた、たった一つのシンプルな真実。
それは、本当の豊かさや幸福という名の“宝物”は、山の頂上(目的地)にあるのではなく、その頂上へと向かう、一歩一歩の道のり(プロセス)の足元にこそ、無数に転がっているということでした。
賢明な登山家は、決して遠い山頂ばかりを、見上げてはいません。
そんなことをすれば、足元の、小さな石ころにつまずき滑落してしまいます。
彼らは、今、踏み出している、その「次の一歩」に、全神経を集中させています。
自分の呼吸のリズム、岩肌を掴む、指先の感覚、頬を撫でる風の香り…。
その、「今、ここ」という瞬間の、連続の中に生きている。
そして、逆説的ですが、そのように、道のりそのものを、深く、深く、味わいながら歩む者だけが、結果として、最も安全に、そして、最も豊かに山の頂上へとたどり着くことができるのです。
そして、なにより、
という研究データがあります。
それが、実は、多くのビジネス大成功者が「新たなビジネスを次々と立ち上げている理由」だと思っています。
新たな、「自分が面白いと思える挑戦」によって幸福が得られる。と分かっているからです。
そこに「お金持ち」達、「人生攻略者」達は楽しみを得ているのだと、個人的には考えています。
【ワークショップ】
あなたにとっての“幸福なプロセス”とは何か?
さあ、あなたも、その足元に転がっている見過ごされてきた「宝物」を、一緒に拾い集めてみましょう。
ノートとペンを用意して、少しだけ売上目標や、集客の不安を忘れてください。
そして、日々の仕事の中に、すでに存在している「幸福なプロセス」に、静かに光を当ててみましょう。
臨床・セッションにおける、知的な興奮のプロセス
私たち「からだ職」の仕事は、壮大で、エキサイティングな「謎解き」です。
先ほどの「逆境」を僕らは常に体験できているのです。
お客様の身体は、教科書通りには、決していきません。
一人ひとり、全く違う歴史と、物語を持った未知の宇宙です。
・整体師として、あなたの繊細な手の感覚だけを頼りに、お客様の声にならない身体の声を、聴き取り対話していく、あの深い集中。
・パーソナルトレーナーとして、クライアントのほんの僅かなフォームの癖を見抜き、それを修正する的確な「一つの言葉」を探し出す、あのアーティストのような創造性。
・ヨガ/ピラティスインストラクターとして、最も体が心地よく理想的に動けるようななインストラクションや、心の底からリラックスさせる声のトーンや雰囲気づくりを行う探求心。
思い出してみてください。
最近、あなたがお客様と向き合う中で、「なるほど!」「そうか、これだったのか!」と、思わず膝を打った、あの瞬間を。
その、知的な興奮こそが、誰にも奪われることのない、あなたの仕事の最高の報酬の一つなのです。
あなた自身の、学びと成長のプロセス
あなたの独立開業という旅路は、あなた自身が、専門家として、そして一人の人間として、どこまでも成長し続けられる、壮大な「学びのプロセス」です。
それ自体に既に価値があります。
昨日まで、分からなかったことが、今日分かるようになる。
昨日まで、できなかったアプローチが、今日できるようになる。
その、1ミリの、しかし、確かな「成長」をあなたは日々、感じられていますか?
私たちは、つい他人と自分の「完成度」を比べてしまいます。
しかし、比べるべき相手は、他人ではありません。
「以前の自分」ですよね。
その、ささやかで、しかし、尊い日々の成長のプロセスに、光を当て祝福すること。
それが、あなたの自己肯定感を、静かに、しかし、力強く育んでいきます。
言葉では、「知識」として知っている。
だけど、「知恵」として昇華されていないという方は多いではないでしょうか?
お客様との、信頼関係が育っていくプロセス
そして、これが私たちにとって、最高の「宝物」かもしれません。
初めて、あなたの元を訪れた時、不安そうな硬い表情をしていたあのお客様。
セッションを重ねるごとに、少しずつ心を開いてくれ、身体の話だけでなく、家族の話や夢の話までしてくれるようになった。
今では、あなたの前で、心の底からリラックスした、優しい笑顔を見せてくれる。
この、ビジネスという関係性を超えた、人と人との温かい「信頼関係」が、時間をかけて、ゆっくりと育っていくプロセス。
そのかけがえのない喜びは、どんなにお金を積んでも、決して買うことはできません。
僕が売上日報をやめ、
「発見ノート」を書き始めた理由
これらの「幸福なプロセス」に気づいた時、僕は、ある大きな決断をしました。
それは、毎日の「売上」を、記録するのをやめる、ということでした。
数字は、確かに重要です。
しかし、数字の増減に、毎日一喜一憂することは、僕の心を消耗させるだけでした。
代わりに、僕は、一日の終わりに「今日の臨床や経営の中での、小さな“発見”や“学び”」を3行だけ書き留めることにしたのです。
「〇〇というアプローチが、△△さんに、驚くほど効果があった。なぜだろう?」
「ブログのタイトルをこう変えたら、アクセスが少し増えた。読者は、こういう言葉に、響くのかもしれない」
「お客様から、こんな嬉しい言葉をいただいた。本当にこの仕事をやっていて、良かった」
この「発見ノート」を書き始めてから、僕の仕事は数字に追われるプレッシャーに満ちた「作業」から、知的好奇心と感謝に満ちた、喜びに変わりました。
この章で、私たちは、足元に転がっていた、たくさんの「宝物」を、見つけ出しました。
次の章では、いよいよ、この「プロセスを楽しむ」という、新しいマインドセットを、あなたの日々の起業活動の中に、具体的な「習慣」として、落とし込んでいく、実践的な方法についてお話ししていきます。
第三章:
「まったりプロセス」を“実践”する、具体的な3つの習慣
第二章で、私たちは、目的地(結果)ばかりを見つめるのではなく、そこへ向かう道のり(プロセス)そのものに、本当の豊かさが隠されていることを学びました。
しかし、独立開業という、日々のプレッシャーの中で、その穏やかな視点を保ち続けるのは、決して簡単なことではありません。
では、どうすれば、結果という呪縛から本当に自由になり、「プロセス」そのものを、心から楽しめるようになるのでしょうか。
その答えは、「習慣」にあります。
あなたの心を、常に「プロセス」へと、優しく引き戻してくれる、3つの具体的で、誰にでもできる習慣を、あなたにプレゼントします。
習慣①:
結果ではなく「問い」を立てる
「目標」があなたを縛り、
「問い」があなたを自由にする
私たちは、ビジネスを始める時、必ず「目標」を立てます。
「月商100万円を達成する」「リピート率80%を達成する」 しかし、この「結果目標」は、時として、あなたを縛り付ける重い「鎖」になります。
なぜなら、そこには、「達成できたか」「できなかったか」という、0か100かの、冷たい判断しか、存在しないからです。
達成できなければ、あなたは「敗者」となり、自信を失います。
そこで、僕が提案したいのが、結果ではなく、「問い」を立てる、という習慣です。
「目標」が、あなたを、頂上だけを見つめさせる、苦しい登山だとすれば、 「問い」は、あなたの周りに広がる、美しい景色や足元の花々に気づかせてくれる、楽しい探求の旅です。
「目標」が、あなたを縛る「鎖」だとすれば、「問い」は、あなたを、どこまでも自由な、創造の空へと羽ばたかせる「翼」なのです。
【ワークショップ】
あなたのビジネスを、創造的な“問い”に変える
さあ、あなたの、その重たい「目標」を、心をワクワクさせる、軽やかな「問い」へと、一緒に翻訳してみましょう。
(結果目標) 新規顧客を、月20人獲得する
(創造的な問い) どうすれば、僕の“物語”が、まだ見ぬ未来のお客様の心に、もっと深く届くだろうか?
(結果目標) リピート率を80%にする
(創造的な問い) お客様が、次に来るのが、待ち遠しくてたまらなくなるような、感動体験をどうすれば創れるだろうか?
(結果目標) 年商1000万円を達成する
(創造的な問い) 僕が提供する価値を、どうすれば、もっと高め、もっと多くの「ありがとう」を集められるだろうか?
この、「問い」を、あなたの仕事の中心に置いた時。
あなたは、数字の奴隷から解放され、理学療法士や整体師としての、本来の「探求者」へと立ち返ることができるのです。
習慣②:
「完璧」ではなく「改善」を愛する
あなたの事業は、
「作品」ではなく「生き物」である
独立したばかりの、真面目なあなたほど、「完璧なサービス」「完璧なホームページ」という、「完璧な状態」を目指してしまいます。
しかし、その完璧主義は、あなたから、行動する勇気を奪い、あなたを、永遠の「準備期間」に、閉じ込めてしまいます。
あなたの事業は、美術館に飾られる、完成された「作品」ではありません。
それは、あなたと共に、日々、呼吸し、変化し成長していく、愛おしい「生き物」なのです。
未完成で、不格好でもいい。
まずは、その小さな命を、世界に誕生させてあげること。
そして、その成長のプロセスを愛しむこと。
1日0.1%の改善。
“複利の力”が、あなたの経営をどう変えるか
私たちが、愛すべきは、「完璧」ではなく、日々の、ささやかな「改善」です。
「以前の自分より、0.1ミリでも前に進めたか?」 その、小さな、しかし、確かな「改善のプロセス」を、祝福し、楽しむこと。
1日0.1%の改善は、あまりにも、小さく、無意味に見えるかもしれません。
しかし、その0.1%を、365日、続けたとしたら。
1年後、あなたは、1.001の365乗、つまり、約1.44倍、成長していることになります。
これこそが、アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだ、“複利の力”です。
ヨガやピラティスの、達人、プロのボディービルダーたちの姿を思い浮かべてみてください。
彼らは、ある日突然、完璧になったのではありません。
ただ、誰よりも、昨日より、今日の自分が、ほんの少しでも、深まっているという、その地味で、しかし、尊い「改善のプロセス」を、愛し続けることができた、ただの人なのです。
あなたの経営も、全く同じです。
習慣③:
「成長」を記録する
数字では見えない、
あなたの「内なる資産」を可視化する
私たちの脳は、残念ながら、ポジティブな出来事よりも、ネガティブな出来事の方を、強く、記憶するようにできています。
だから、私たちは、日々、多くの素晴らしい仕事を成し遂げているにも関わらず、「自分は、まだ何もできていない」という、欠乏感に苛まれてしまいやすいのです。
その脳の、悲しい癖を乗り越えるための、唯一の方法。
それが、あなたの日々の「成長」や「喜び」を、あなた自身の目で見える形として「記録」することです。
僕が今も続けている、
3行ポジティブ日誌とその具体的な書き方
第二章で、僕は「売上日報」をやめ、「発見ノート」を始めた、というお話をしました。
それは、具体的には、一日の終わりに、たった3分だけ以下の3つの項目を書き出す、という非常にシンプルな習慣です。
- 今日の、臨床での「発見」
(例:「〇〇というアプローチが、△△さんに、驚くほど効果があった。
お客様の、あの驚いたような、嬉しそうな顔が忘れられない」) - 今日の、お客様からの「贈り物」
(例:「先生のおかげで、諦めていた旅行に行けました、という最高の“ありがとう”をもらった」) - 今日の、自分自身の「成長」
(例:「苦手だった会計作業を、逃げずに15分だけやった。
小さな一歩だけど、昨日の自分より、確実に前に進めた」)
この、たった3行の記録が、あなたの脳を、「足りないもの」を探すネガティブなモードから、「すでに、ここにある豊かさ」を探す、ポジティブなモードへと、切り替えてくれます。
そして、そのノートは、数ヶ月後、数年後には、あなたが道に迷った時に、いつでもあなたを励まし、勇気づけてくれる、あなただけの「内なる資産」の預金通帳になっているはずです。
この章で、私たちは「プロセスを楽しむ」という、新しいマインドセットを具体的な「習慣」として、手に入れました。
次の最終章では、この習慣が、なぜ逆説的に最高の「結果」を生み出すのか。
その、最後の真理についてお話しします。
第四章:逆説の真理
―なぜ、“プロセス”を楽しむと、“結果”は後からついてくるのか―
これまでの章で、私たちは、成功の定義を「状態」から「プロセス」へと、書き換える旅をしてきました。
そして、日々の仕事の中に、喜びと成長という「宝物」を見つけ出し、それを実践するための「3つの習慣」を手に入れました。
「理念は、素晴らしいと思う。でも、本当にそんな「“まったり”としたやり方」や、「マインドセットを変える訓練」をしたところで、ビジネスとして成功できるのだろうか?」と。
この最終章は、その、あなたの最も現実的で、そして、最も重要な問いに対する僕からの最終回答です。
結論から申し上げます。
その、逆説的な真理を、3つの側面から解き明かしていきましょう。
「まったり」としたオーラが、
理想のお客様を惹きつける理由
考えてみてください。
あなたは、理学療法士として、整体師として、あるいはヨガ・ピラティスインストラクター、パーソナルトレーナーとして、お客様に、何を提供していますか?
それは、単なる「技術」や「知識」だけではないはずです。
あなたは、あなた自身の「あり方」そのものも、同時に提供しているのです。
「欠乏感」から働く、専門家
「今月の売上が、足りない…」
「このお客様を、逃してはいけない…」
その、目には見えない「欠乏感」のエネルギーは、あなたの言葉の端々や、手のひらの緊張、そして、表情の僅かな曇りとなって、必ずお客様に伝わります。
その焦りや、不安のオーラを放つ人の前で、お客様は心の底からリラックスし、自分自身の身体を委ねることができるでしょうか。
「満たされたエネルギー」から働く、専門家
一方で、「足るを知る」心を持ち、日々のプロセスそのものを、楽しんでいる、あなた。
その、穏やかで、満たされた、「まったり」としたオーラは、お客様に、何よりも深い「安心感」を与えます。
「この先生は、私のことを、ただの“売上”としてではなく、一人の“人間”として、見てくれている」 その、絶対的な安心感こそが、お客様が他の誰でもなく「あなたがいい」と、心からの信頼を寄せてくれる最も大きな理由になるのです。
お客様は、あなたの「欠乏感」ではなく、あなたの「満たされたエネルギー」にこそ、お金を払いたいのです。
「探求心」が、あなたの専門性を、
誰にも真似できないレベルまで高める
次に、あなたの「専門性」について、考えてみましょう。
独立開業した私たちが、生き残るために専門性を高め続けなければならないのは言うまでもありません。
しかし、その「学びの動機」が「どこにあるか」で、その成長の“質”と“深さ”は、全く別のものになります。
「恐怖」から学ぶ人
「新しい技術を学ばないと、お客様が離れてしまうかもしれない」
その、外部からのプレッシャーを動機にした学びは、苦痛であり、長続きしません。
「探求心」から学ぶ人
「このアプローチを試したら、あのお客様は、どう変わるだろう?」
その、内側からとめどなく湧き上がる、純粋な「知的好奇心(探求心)」を動機にした学びは、もはや「努力」ではなく、最高の「遊び」です。
パーソナルトレーナーが、自分の身体で、新しいメソッドを楽しそうに試すように。
その、楽しそうな姿、そのものがあなたの最高の「権威性」になります。
お客様は、「義務」で学んでいる専門家よりも、「心から、その道を愛し、楽しんでいる」専門家に、自分の身体を、そして、未来を託したいのです。
そして、そのようにして、楽しみながら深めた知識は、誰にも真似できない、あなただけの、本物の「専門性」へと結晶化していくのです。
「楽しんでいる人」には、誰も勝てない。
それが、ビジネスの、そして人生の真実
最後に、僕が、インドのヨガ寺で学んだ、「カルマ・ヨガ」という、深遠な教えについてお話しさせてください。
それは、この章の、そして、この教科書全体の「結論」とも言える、智慧です。
カルマ・ヨガとは、「結果への執着を、手放す」という、教えです。
しかし、その行為から、生まれるであろう「結果(報酬、賞賛、成功)」に対しては、一切、執着してはならない。
なぜなら、結果は、あなたの手の中にはなく、それは、天からの「贈り物」のようなものだからだ、と。
これを、私たちのビジネスに、翻訳してみましょう。
あなたが、お客様に、最高のセッションを提供する。
それが、あなたの「行為」です。
そのお客様が、リピートしてくれるか、紹介してくれるか、あるいは、何も言わずに去っていくか。
それが、「結果」です。
カルマ・ヨガの実践とは、 「結果」がどうであれ、ただ、目の前の「行為」そのものに、喜びと、やりがいと、深い満足を見出すことなのです。
この、究極のマインドセットを手に入れた時、あなたはどうなるでしょうか。
そして、ただ純粋に、目の前の仕事を楽しむことができる。
毎日、毎日、楽しそうに、そして、幸せそうに、自分の仕事に没頭している人。
そんな人に、一体、誰が勝つことができるでしょうか。
ライバルも、市場の変動も、もはやあなたの敵ではなくなります。
そして、ここからが、人生の、そしてビジネスの、最も美しい逆説の真理です。
世界は、まるで、あなたのその美しい姿を、祝福するかのように、最高の「結果」を、あなたの元へ、贈り物として届けてくれるのです。
終章:
終わりなき、しかし幸福な旅へ
あなたの「成功」は、
誰が決めるのか?
ここまで、僕の長い、そして、決してスマートではなかった「成功」探しの旅に、お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
その、新しい視点を手に入れたあなたへ。
僕が、最後に、どうしても伝えたい「問いかけ」があります。
「あなたの“成功”は、一体「誰が」決めるのですか?」
同業者から、羨望の眼差しを向けられる、売上の大きさでしょうか。
親や、家族が、安心してくれるような、社会的な地位でしょうか。
それらも、素晴らしいものかもしれません。
しかし、忘れないでください。
それらは全て、「他人」という名の、移ろいやすい、不確かな“物差し”です。
その物差しで、あなた自身の価値を測り続ける限り、あなたの心に本当の「平穏」が訪れることは、決してありません。
あなたが、本当に、持つべき物差し。
それは、「あなた自身の、心の声」という、世界でたった一つの、絶対的な物差しです。
「今日の仕事は、心から楽しかったか?」
「目の前のお客様を、昨日よりも、少しでも幸せにできたか?」
「家族と、笑い合える時間を大切にできたか?」
その、あなた自身の、内なる問いかけに、あなたの心が静かに「YES」と頷いてくれるのなら。
たとえ、その日の売上がゼロだったとしても。
あなたは、その日、紛れもなく最高の「成功者」なのです。
今、この瞬間にも、
あなたは“成功のプロセス”の
真っ只中にいる
この視点に立った時、あなたは、一つの、驚くべき真実に、気づかされるはずです。
それは、「成功とは、未来のどこかで、手に入れるものではなく、今、この瞬間にも、すでにここにあるものだ」ということです。
お客様が来なくて、不安に押しつぶされそうになっている、今の、あなたも。
新しい技術が、思うように習得できず、壁にぶつかっている、今の、あなたも。
その、悩んでいることも、壁にぶつかっていることも含めて、それら全てが、あなたの物語を、より深く、より豊かにする、尊い「成功のプロセス」の、真っ只中なのです。
独立開業という道は、「成功か、失敗か」という、残酷な二元論のギャンブルではありません。
それは、「自分という人間を、どこまでも探求し、成長させ続けるための、最高の冒険」なのですから。
あなた自身の中で、「成功の定義」を確立させることが、「本当の成功」への第一歩になるはずです。
この記事から、そのヒントを少しでも得られれば幸いです。
最後まで長い文章を読んでくださり、ありがとうございました^^
ーTatsu


