はじめに:独立開業者が、最初に夢見る「魔法の杖」
こんにちは。 『からだ職の「まったり」未来設計ラボ』のTatsuです。
2025年8月6日。 独立開業という、希望に満ちた、しかし、どこまでも広がる荒野に、あなたは今、たった一人で立っているのかもしれません。
理学療法士として、整体師として、ヨガインストラクターとして、あるいはパーソナルトレーナーとして。 目の前のお客様を癒し、導くための「技術」と「情熱」は、誰にも負けないくらい、持っている。
しかし、たった一つだけ、決定的に足りないものがある。 それは、「集客」という、全く未知の、そして巨大な怪物と戦うための「武器」です。
「どうすれば、私のこの価値を、必要としている人に、届けることができるのだろう…」
その、暗闇の中で、私たちは、一つの「魔法の杖」を夢見てしまいます。
「これさえあれば、集客は安泰だ」
「これさえあれば、私は、自分の好きな臨床や指導に、集中できる」
「これさえあれば、もう、お金の不安に悩まされなくて済む」
その、あまりにも甘美で、抗いがたい魅力を持った「魔法の杖」の正体。 それが、「プロが作る、完璧なホームページ」です。
1-2. 僕自身の告白:その“魔法の杖”に、僕は300万円という大金を支払った
なぜ、僕が、あなたのその気持ちを、痛いほど理解できるのか。 それは、僕自身が、かつて、その「魔法の杖」に、人生を懸けるほどの大金を支払い、そして、見事に裏切られた、惨めな経験を持つからです。
これは、僕が誰にも話したくなかった、僕の起業人生における、最大の失敗談です。 柔道整復師として、1500万円もの借金を背負い、開業したばかりだった、あの無知で、焦っていた僕が、 「何もしなくても、お客様は向こうからやってきますよ」 という、悪魔のように甘い言葉を信じ、総額300万円のホームページ契約に、震える手でサインをしてしまった、その一部始終。
そして、その結果、僕が、お金だけでなく、時間と、そして何より、この仕事への大切な情熱さえも、失いかけた、苦い、苦い物語の全てを、今日、あなたにだけ、正直に告白します。
1-3. この記事の目的:僕の“副反応”の全てを、あなたの“抗体”に変える
なぜ、僕は、わざわざ、自分の恥ずかしい過去を、あなたにさらけ出すのか。 それは、この記事が、単なる失敗の告白ではないからです。
これは、あなたの独立開業という、尊い挑戦を守るための、「ワクチン接種」なのです。
ウイルスの正体は、「知識のない専門家を狙う、悪質なWeb業者」と、「焦りや不安に付け込む、巧みなセールストーク」です。 そして、このワクチンであるこの記事には、僕がそのウイルスに感染し、苦しんだ、弱毒化された「病原体(僕の失敗談)」が、含まれています。
この記事を読むことで、あなたは、僕が経験した、 お金を失う「痛み」、 時間を浪費する「悔しさ」、 情熱が削られていく「苦しみ」、 という、強烈な「副反応」を、安全な形で、追体験することになります。
しかし、その副反応の先に、あなたの心と身体の中には、二度と同じ過ちを繰り返さないための、強力な「抗体」が、間違いなく生成されているはずです。
「怪しい業者を見抜く、眼」
「契約書の、危険な一文を見つけ出す、知識」
「甘い言葉に、NOと言う、勇気」
この記事の唯一の目的。 それは、僕の300万円の痛みを、あなたの未来を守るための、最強の「抗体」に変えること。 さあ、少しだけ、痛みを伴うかもしれませんが、あなたの未来のための、ワクチン接種を、始めましょう。
第一章:誘惑 ―借金1500万の焦りが、僕の目を曇らせた日―
2-1. 開業当初の僕:技術には自信、しかし“集客”という巨大な怪物への恐怖
独立開業した、あの日。 僕は、自分の未来が、輝かしい光に満ちていると信じていました。 柔道整復師として、そして、海外で学んだロルファー™、ヨガインストラクターとして。臨床の現場で培ってきた自分の「技術」には、絶対的な自信があったからです。 「この手さえあれば、どんなお客様の悩みも、解決できるはずだ」と。
しかし、その自信は、オープンからわずか数週間で、粉々に打ち砕かれました。
電話は、鳴らない。
予約表は、どこまでも、真っ白。
毎朝、誰一人訪れない、静まり返ったスタジオで、僕は、一人、途方に暮れていました。
僕の目の前に立ちはだかったのは、僕がこれまで一度も、向き合ったことのない、巨大な怪物でした。 その怪物の名は、「集客」。
理学療法士として、人体の構造は隅々まで知っている。 トレーナーとして、効果的なトレーニングメニューも作れる。 でも、「どうすれば、お客様に、自分の存在を知ってもらえるのか?」 その問いに対する答えを、僕は、何一つ持っていなかったのです。
日に日に減っていく、銀行の預金残高。 そして、僕の肩に、ずっしりと重くのしかかる、1500万円という借金の現実。 僕の心は、「情熱」ではなく、「焦燥感」という名の、黒い煙に、あっという間に覆われていきました。
2-2. 救世主のように現れた、ホームページ制作会社の営業マン
そんな、僕が藁にもすがりたいと思っていた、ある日の午後。 一本の電話が鳴りました。 それは、あるホームページ制作会社の、営業マンからでした。
数日後、僕のスタジオに現れた彼は、僕が想像していたような、強引な営業マンではありませんでした。 清潔感のあるスーツに身を包み、物腰は柔らかく、そして何より、彼は、僕の話を、非常に熱心に、そして共感的に、聞いてくれたのです。
「Tatsu先生は、本当に素晴らしい技術と、熱い想をお持ちなんですね」
「しかし、それを、どうやって伝えたらいいか、分からない。多くの方が、先生と同じ悩みを抱えています」
彼は、僕の孤独と不安に、完璧に寄り添ってくれました。 僕は、いつしか、彼が「営業マン」であることさえ忘れ、まるで、信頼できる経営コンサルタントに、悩みを打ち明けているような感覚になっていました。 彼は、僕にとって、この暗闇から救い出してくれる、「救世主」のように見えたのです。
2-3. 彼が囁いた、魔法の言葉たち
そして、僕の心が、完全に彼に開かれたのを見計らったように、彼は、悪魔のように甘美な「魔法の言葉」を、僕の耳元で囁き始めました。
2-3-1. 「先生の技術は素晴らしい。あとは我々プロに任せれば、何もしなくても集客できます」
この言葉は、僕のプライドを、最高に心地よくくすぐりました。「そうだよな、僕に必要なのは、僕の価値を正しく伝えてくれる、プロの道具だけなんだ」と。集客という、僕が最も苦手で、最も向き合いたくない“怪物”を、彼が代わりに退治してくれる。僕は、そう信じてしまいました。
2-3-2. 「この独自アプリがあれば、お客様はリピートします」
彼は、自社開発だという、スマートフォンのアプリのデモ画面を見せてくれました。予約機能、ポイントカード、クーポン発行…。素人の僕には、それが、まるで未来のツールのように見えました。「これがあれば、お客様は、僕のサロンから離れられなくなる…」
2-3-3. 「月々5万円です。先生の売上なら、すぐに元が取れますよ」
そして、最後の一撃。彼は、決して「総額300万円です」とは言いませんでした。 「月々、たったの5万円」。 その言葉は、1500万円という巨大な借金を前に、金銭感覚が麻痺していた僕にとって、「それくらいなら、なんとかなるか」と思わせるには、十分すぎるほどの、破壊力を持っていました。
2-4. 思考停止。僕が「リース契約」という悪魔に、魂を売った瞬間
「これで、集客の悩みから解放される…」
「僕は、ただ、目の前のお客様と向き合うことに、集中すればいいんだ…」
僕の頭の中は、そんな、バラ色の未来で、いっぱいになりました。 営業マンが、分厚い契約書を、僕の前に差し出します。 そこには、小さな文字が、びっしりと並んでいました。
今、冷静に考えれば、分かることです。 その契約書には、「リース契約」という、一度結んだら、原則として、5年間、何があっても解約できない、という、恐ろしい一文が書かれていたはずです。
しかし、その時の僕は、完全に「思考停止」していました。 僕は、もはや、合理的な判断ができる「経営者」ではありませんでした。 僕は、溺れかけている、ただの人間でした。 そして、目の前に差し出された、それが、穴の空いた浮き輪であることにも気づかずに、必死の思いで、それにしがみついたのです。
僕は、震える手で、ペンを取り、その契約書に、サインをしました。
それが、僕を、これから4年以上にわたる、長く、暗い、後悔の日々へと突き落とす、地獄への入り口とも知らずに。
第二章:裏切り ―納品された“ガラクタ”の、詳細な解剖―
3-1. 半年後、ついに納品。しかし、そこにあったのは“希望”ではなかった
契約書にサインをしてから、約半年。 「先生のサイト、もうすぐ完成しますからね!」という、営業マンの言葉を信じ、僕は、来る日も来る日も、その「魔法の杖」が届くのを、心待ちにしていました。
そして、ついに、その日がやってきました。 「Tatsu先生、お待たせいたしました。サイトとアプリが完成しましたので、ご確認ください」 メールに記載されたURLを、僕は、震える指でクリックしました。
しかし、画面に表示されたのは、僕が夢見ていた、きらびやかな未来ではありませんでした。 そこに広がっていたのは、なんとも言えない、古臭くて、素人感の漂う、既製品のようなホームページ。 そして、重たい動作の、使いにくいアプリ。
「え…?これが…?」
「これが、僕が、これから5年間、毎月5万円を支払い続ける、300万円のシステムの、正体…?」
僕の心臓は、希望から、一瞬にして、冷たい疑惑と、深い絶望へと、突き落とされたのです。 ここからは、その「ガラクタ」の正体を、一つひとつ、冷静に、解剖していきましょう。
3-2. アプリの正体:無料のLINE公式アカウントで、全てできてしまった
営業マンが、「これさえあれば、お客様はリピートします」と豪語した、独自の予約アプリ。 その機能は、主に3つでした。
3-2-1. 予約機能の比較:なぜ、LINEの方が優れているのか
- 独自アプリ: お客様は、まず、僕のスタジオのためだけに、このアプリをダウンロードし、会員登録をしなければなりませんでした。この、あまりにも高いハードルを、一体、何人のお客様が越えてくれるでしょうか。
- LINE公式アカウント(無料): 日本人のほとんどが、すでに使っているLINE。お客様は、QRコードを読み込むだけで、僕と繋がり、チャットで、気軽に予約の相談ができます。どちらが、お客様にとって「優しい」かは、火を見るより明らかです。
3-2-2. ポイントカード機能の比較:LINEショップカードとの決定的な違い
- 独自アプリ: アプリ内に、デジタルのスタンプカード機能がありました。
- LINE公式アカウント(無料): 無料で使える「ショップカード」機能があります。お客様は、お財布から、かさばるポイントカードを一枚、減らすことができます。
3-2-3. クーポン機能の比較:LINEのセグメント配信の優位性
- 独自アプリ: 全員に、同じクーポンを送ることしかできませんでした。
- LINE公式アカウント(無料): 例えば、「最後の来店から、3ヶ月以上空いているお客様だけに、特別なクーポンを送る」といった、お客様一人ひとりに合わせた、戦略的なメッセージ配信(セグメント配信)が可能です。
結論として、僕が300万円の対価として手に入れたアプリは、無料のLINE公式アカウントの、完全な下位互換でしかなかったのです。
3-3. ホームページの正体:集客できない“置物”
そして、問題は、ホームページ本体でした。 それは、Web集客という観点から見て、まさに「置物」。美しい花瓶ですらない、道端に転がる石ころのような、存在でした。
3-3-1. デザインの問題:なぜか漂う“素人感”と、信頼を損なうダサさの正体
理学療法士や整体師、ヨガ・ピラティスのインストラクターである私たちが提供するものは、お客様の「健康」と「美」に関わる、極めて繊細なサービスです。 だからこそ、ホームページのデザインは、あなたの専門性と清潔感、そして世界観を映し出す、最も重要な「顔」となるはずです。 しかし、僕のホームページは、10年前に流行ったような、古臭いデザイン。使われている写真は、どこかの無料素材サイトから取ってきたような、外国人のモデル。 そこには、僕自身の「想い」も、「人柄」も、全く存在していませんでした。 それは、「僕の城」ではなく、誰かが作った、安っぽい「プレハブ小屋」だったのです。
3-3-2. SEOの問題:「浦和 ヨガ」で40位。なぜ、1年間、順位が全く上がらなかったのか
僕は、後からSEOを必死で勉強して、その理由を理解しました。
- タイトルタグの欠如: SEOで最も重要な、検索結果に表示される「タイトルタグ」。僕の300万円のサイトは、全てのページが、ただ「Tatsu整体院」という、同じタイトルでした。これは、本屋に並ぶ、全ての本の背表紙に、ただ「本」とだけ書かれているのと同じです。Googleが、どのページに何が書かれているか、全く理解できるはずがありません。
- 見出し構造の欠如: 記事の「骨格」となる、h1, h2, h3といった「見出しタグ」も、一切使われていませんでした。それは、章も、節も、段落もない、ただ文字が羅列されているだけの、読みにくい論文のようでした。
3-3-3. 機能性の問題:「ブログ書けます」は嘘だった。自分で更新できないという絶望
契約前、営業マンは、確かにこう言いました。「先生の専門知識を、ブログで発信できますよ」と。 しかし、納品後、僕が「ブログを書きたい」と伝えると、返ってきたのは、衝撃の言葉でした。
「はい、承知しました。では、先生が書いた文章を、メールで送ってください。1記事〇〇円で、こちらで代理投稿します。反映には、1週間ほどかかります」
愕然としました。 僕がやりたかったのは、日々の気づきや、お客様への想いを、タイムリーに、自分の言葉で発信することでした。 しかし、このシステムでは、僕は、自分の城の壁に、自分で一枚のポスターを貼ることさえ、許されなかったのです。
このホームページは、僕が、これから育てていくべき「森」ではなく、完成した瞬間に、成長が止まってしまった「剥製」だったのです。 僕の独立開業という物語は、この「動かない城」の中で、完全に、息の根を止められていました。
第三章:絶望 ―“幽霊船”に、毎月5万円を支払い続けた、地獄の4年間―
第二章で、僕が手にした「魔法の杖」が、実は、何の力も持たない“ガラクタ”だったことをお話ししました。 しかし、本当の絶望は、その先に待っていました。 ガラクタは、ただそこにあるだけではありませんでした。それは、僕の血肉を喰らい、僕の魂を蝕み続ける、呪われた“幽霊船”だったのです。
4-1. 制作会社の、冷たい言葉:「こちらでの編集は別料金です」
納品されたホームページが、全く集客できないことに気づいた僕は、すぐに、あの物腰の柔らかだった営業マンに電話をしました。 「あの、お話と違って、全く集客できないのですが…ブログも、自分で更新できないようですし…」
しかし、受話器の向こうから聞こえてきたのは、契約前の、あの優しい声ではありませんでした。 それは、まるで別人のような、冷たく、事務的な声でした。
「いえ、我々の仕事は、ホームページを“制作”することです。契約は、それで完了しております」
「集客の“改善”や、ブログの“更新”をご希望でしたら、それは別途、コンサルティング契約が必要になりますが」
僕は、愕然としました。 彼らが売っていたのは、「集客できるホームページ」という“結果”ではなかった。 ただ、「ホームページという“モノ”」だったのです。 そして、僕は、その役立たずのモノに対して、これから5年間、300万円を支払い続けなければならない。 その、あまりにも理不尽な現実に、僕は、ただ、立ち尽くすしかありませんでした。
4-2. 「リース契約」の本当の恐怖:解約できない、という現実
僕は、このホームページを使うことを諦め、1年後、自力で新しいWordPressのサイトを立ち上げました。 そして、制作会社に、解約を申し出ました。 しかし、そこで、僕は、「リース契約」というものの、本当の恐ろしさを知ることになるのです。
リース契約の法的拘束力
リース契約とは、商品を「買う(売買契約)」のでも、「月々で借りる(賃貸契約)」のでもない、特殊な契約です。 それは、「あなた(使用者)」と「制作会社(販売店)」、そして「リース会社(お金の貸主)」という、三者間の契約なのです。
- あなたは、リース会社と「5年間、毎月5万円を支払う」という契約を結びます。
- リース会社は、その契約に基づき、制作会社に、300万円を一括で支払います。
- 制作会社は、あなたに、ホームページを納品します。
この時点で、制作会社は、300万円をすでに受け取っており、この契約関係から、いなくなります。 残るのは、あなたと、リース会社との、5年間という、絶対的な支払い義務だけです。
なぜ、それが高額な無形資産にとって、最悪の契約形態なのか
もし、あなたがリース契約したものが、コピー機のような「モノ」であれば、まだ、最悪、そのモノを売却して、いくらかのお金に換えることができます。 しかし、ホームページは、「無形資産」です。 そして、Webの世界の技術は、1〜2年で、あっという間に古くなります。
つまり、僕は、もはや存在せず、何の価値も生まない、インターネットのゴミと化した“幽霊船”のために、リース会社という名の亡霊に、そこからさらに4年間、毎月5万円を、黙って支払い続けなければならなくなったのです。 法律上、僕に、逃れる術は、ありませんでした。
4-3. 毎月、銀行口座から血が抜かれていく感覚
その日から、僕にとって、毎月27日の銀行の引き落とし日は、「給料日」ならぬ「失血日」となりました。 売上から、家賃を払い、光熱費を払い、そして、この“幽霊船”への支払い、5万円。
独立開業したばかりの理学療法士や整体師にとって、毎月5万円の固定費が、どれほどの重圧か、あなたなら、想像がつくでしょうか。 それは、客単価1万円だとしても、5人のお客様に、全力で向き合って、ようやく得られる、尊いお金です。 僕の、その月の、最初の5人のお客様からの「ありがとう」は、全て、僕を騙した、あの会社の利益へと、消えていく。
その事実は、僕の心を、じわじわと、しかし確実に、蝕んでいきました。 新しい技術を学ぶためのセミナーへの参加を、ためらうようになりました。 家族との、ささやかな外食さえも、贅沢に感じるようになりました。 自分の努力が、自分の未来ではなく、過去の失敗への「罰金」として、吸い取られていく感覚。 それは、まるで、自分の身体から、毎月、少しずつ、血が抜かれていくような、地獄の日々でした。
4-4. この失敗が、僕の“まったり経営”の哲学を、どう歪めたか
そして、この経済的なプレッシャーは、僕の独立当初の、純粋な理念さえも、歪めていきました。 「まったりと、お客様一人ひとりと、深く向き合いたい」 そう願って起業したはずなのに、僕の頭の中は、いつしか、こうなっていました。
「もっと、稼がなければ」
失われた300万円を取り戻すために、僕は、自分の理念とは正反対の、過剰労働の道へと、自ら突き進んでいったのです。 予約の枠を、無理に増やす。 休日を返上して、働く。 ヨガやピラティスの、自分のための練習時間さえも、惜しいと感じる。
パーソナルトレーナーが、自らのトレーニングを怠るように。 僕は、自分自身の心と身体のメンテナンスを、完全に、放棄していました。
この「300万円の失敗」という呪いは、お金だけでなく、僕の健康と、そして、僕が最も大切にしたかったはずの「まったり経営」という、魂の形さえも、歪めてしまったのです。
第四章:再生 ―300万円の“授業料”から学んだ、3つの教訓―
第三章でお話しした、長く、暗い、絶望の日々。 しかし、その時間も、決して無駄ではありませんでした。 僕は、毎月5万円の「失血」という、痛みを伴う授業料を払いながら、独立開業した専門家が、生き残るために絶対に学ばなければならない、3つの極めて重要な教訓を、骨の髄まで、叩き込まれたのです。
この章は、あなたが、僕のような遠回りをせず、最短で、そして最も安全に、あなたのビジネスを軌道に乗せるための、僕からの、心からの贈り物です。
5-1. 教訓①:自分の“城”の主導権は、自分で握る(サーバー・ドメインの所有権)
これが、全ての土台となる、最も重要な教訓です。 あなたのホームページは、インターネットの荒野に築く、あなただけの「城」です。
そして、
- 「ドメイン(例:〇〇seitai.com)」は、その城の「住所」であり、「土地の権利書」です。
- 「サーバー」は、その城が建つ「土地」そのものです。
僕が結んだ300万円の契約では、この「土地の権利書」と「土地」の所有権は、全て制作会社が握っていました。 僕は、ただ、その土地の上に、彼らが建てたプレハブ小屋を、高い家賃で借りているだけの、哀れな「店子」だったのです。
だからこそ、彼らは「作って終わりです」と、平気で言えた。気に入らないなら出ていけ、しかし、家賃(リース料)だけは払い続けろ、と。
あなたが、ホームページ制作を、誰かに依頼するとしても、 「ドメイン」と「サーバー」だけは、必ず、あなた自身の名義で契約してください。
これは、独立した事業主としての、絶対的な鉄則です。 もし、制作会社が「弊社でまとめて管理しますから、大丈夫ですよ」と言ってきたら。 それは、あなたの城の権利書を、他人に預けてしまうのと同じ、極めて危険な行為です。 その会社との契約は、丁重に、しかし、きっぱりと、お断りしましょう。
5-2. 教訓②:「見た目」と「集客」は、全くの別物である(業者選びの基準)
「綺麗なホームページを作れば、お客様は来てくれる」 これは、開業したての頃の僕が抱いていた、あまりにも甘い幻想でした。
あなたのホームページに必要なのは、2種類の全く異なる専門家です。
- Webデザイナー: あなたの城を、美しく、魅力的に見せる「建築家」。
- Webマーケター: その城に、お客様を、絶え間なく導く「軍師」。
僕が契約した会社は、「建築家」としては三流でしたが、それ以上に、「軍師」としての能力が、完全にゼロでした。 彼らは、ただ、見た目だけの、誰も訪れない「幽霊屋敷」を作っただけだったのです。
あなたが、業者を選ぶ際に、見極めるべきは、その会社が、「美しい城を建てられるか」ということ以上に、「その城に、人を呼べる、具体的な戦略と実績を持っているか」という一点です。
5-2-1. 制作会社に絶対にすべき「7つの魔法の質問」
あなたが、業者選びで失敗しないために。 打ち合わせの際に、必ず、以下の7つの質問を、投げかけてみてください。 その答え方で、彼らが、本物の「軍師」かどうかが、分かります。
- 「WordPressで作っていただけますか?」
(「弊社独自のシステムです」と答える業者は、要注意です。あなたは、その会社に、未来永劫、縛り付けられることになります) - 「サーバーとドメインは、私の名義で契約できますか?」
(これも「NO」なら、契約してはいけません。あなたの城の、土地の権利書と、鍵を、他人に預けてしまうのと同じです) - 「制作後、ブログの更新や、簡単な文章の修正は、自分でできますか?」
(「修正は、その都度お見積りです」という業者は、後々、高額な保守費用を請求してくる可能性があります) - 「SEO対策の実績を、具体的なキーワードと、順位で見せていただけますか?」
(これが、最も重要な質問です。「SEO対策します」という言葉は、誰にでも言えます。具体的な「結果」を見せられるか、がプロの証です) - 「契約形態は、リース契約ではありませんか?」
(僕がハマった、悪魔の契約です。この言葉が出た瞬間に、丁重にお断りしましょう) - 「制作後の保守・サポートの、具体的な内容と費用を教えてください」
(どこまでが無料で、どこからが有料なのかを、書面で、明確にしてもらいましょう) - 「スマホでの表示は、完璧に対応(レスポンシブデザイン)していますか?」
(2025年現在、これは、できていて当たり前の、最低限の基準です)
5-3. 教訓③:「リース契約」という悪魔の契約から、身を守る方法
最後に、僕の心と身体、そして経営を、最も長く、深く、苦しめた「リース契約」という名の、悪魔について。 この仕組みを、理学療法士のあなたにも、ヨガのあなたにも、誰にでも分かるように、解説します。
5-3-1. リース契約と、割賦(分割払い)契約の決定的違い
- 割賦(分割払い): これは、あなたと、制作会社との、二者間の契約です。あなたが商品を「買う」契約であり、ローンを組むイメージです。所有権は、あなたにあります。
- リース契約: これは、あなたと、制作会社と、リース会社という、三者間の契約です。あなたは、リース会社から、商品を「借りる」契約を結びます。所有権は、リース会社にあります。 そして、リース会社は、契約成立と同時に、制作会社に、代金を一括で支払います。 だから、たとえ、ホームページが使い物にならなくても、制作会社が倒産しても、あなたの、リース会社への支払い義務は、1円も、消えることはないのです。
5-3-2. 健全な契約形態とは何か?(一括払い・月額保守)
では、どうすればいいのか。健全な契約形態は、シンプルです。
- 一括払い(または、2〜3回の分割払い): 最もクリーンで、安全な方法です。制作会社との、直接契約です。
- 月額保守契約: これは、サイト制作費とは別の、公開後のサポート(サーバー管理、修正など)に対する費用です。重要なのは、「いつでも、1〜2ヶ月前の予告で、解約できる」という点です。
「リース」という言葉が、契約書に出てきたら。 それは、あなたの起業という、輝かしい未来を破壊しかねない、危険なサインだと、どうか、覚えておいてください。
終章:僕の失敗を、あなたの成功の糧に
ここまで、僕の、長く、そして、あまりにも恥ずかしい失敗談にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。 300万円という、途方もない金額。 そして、お金以上に、失われた、膨大な時間と、すり減らされた情熱。
この物語を語ることは、僕にとって、今でも、古傷が痛むような、辛い作業です。 しかし、僕が、それでも、この物語をあなたに伝えたいと、心の底から願うのには、理由があります。
6-1. 300万円の失敗は、僕にとって最高の“自己投資”になった
僕は、あの失敗で、多くを失いました。 しかし、逆説的ですが、あの失敗があったからこそ、手に入れたものもあります。 いや、手に入れたものの方が、遥かに、大きかったと、今では断言できます。
あの、どうしようもない「ガラクタ」のために、毎月5万円を支払い続けるという、理不尽な現実。 その悔しさが、僕に火をつけました。
「もう、二度と、誰にも騙されない」
「自分の城は、自分の手で、築き上げるんだ」
そこから、僕は、狂ったように、Webマーケティングを学び始めました。 SEO、MEO、ライティング、WordPress…。 柔道整復師の僕が、人生で一度も触れてこなかった、未知の言語を、一つひとつ、手探りで、学んでいきました。 そして、気づけば、僕は、「静かなWeb集客」という、自分だけの実践的なノウハウを、体系化するに至っていたのです。
そう考えると、あの失敗は、僕の人生で、最もリターンの大きい、最高の「自己投資」だったのかもしれません。
6-2. あなたが、僕と同じ過ちを繰り返さないために
しかし、僕は、あなたに、僕と同じ遠回りをしてほしいとは、決して思いません。 300万円という大金と、数年間という貴重な時間を失わなくても、あなたは、もっとスマートに、もっと安全に、成功への道を歩むことができるはずです。
理学療法士として、その深い医学的知識で、人を救おうとしている、あなたへ。
整体師として、その繊細な手の感覚で、人を癒そうとしている、あなたへ。
ヨガ・ピラティスインストラクターとして、心と身体の調和を伝えようとしている、あなたへ。
パーソナルトレーナーとして、人の人生を変える、伴走者であろうとしている、あなたへ。
どうか、覚えておいてください。 あなたのその尊い「想い」と「技術」は、無知を狙う、一部の悪質な業者によって、いとも簡単に、搾取されてしまうことがあるという、悲しい現実を。 そして、あなたの身を守るための、最強の鎧は、「正しい知識」以外に、ないということを。
6-3. 開業後に、あなたを待ち受ける「新しい誘惑」という名の、狼たち
僕の300万円の失敗談は、氷山の一角です。 あなたが開業届を出し、あなたの店の名前が、世の中に公開された、その瞬間から。 あなたの電話は、鳴り始めます。 しかし、それは、お客様からではありません。あなたの、知識のなさと、成功への渇望を嗅ぎつけた、様々な「営業」という名の、狼たちからです。
彼らは、僕が騙されたセールスマンと同じように、あなたの不安に、完璧に寄り添い、甘い言葉を囁きます。 以下に、僕の元にも、実際に来た、代表的な営業の手口を、リストアップします。
- インフルエンサーマーケティング: 「有名なインフルエンサーさんが、あなたの店舗を紹介しますよ」
- 口コミ収集システム・アプリ: 「これを導入すれば、Googleの口コミが、簡単に集まります」
- 本の出版営業: 「先生の素晴らしい技術を、本にして、ブランディングしませんか?」
- ホームページの買取営業: 「その古いサイト、弊社が5万円で買い取ります。そして、月々たったの3万円で、新しいサイトを作りませんか?」(結局新たなリース契約が始まります。)
- LINE集客コンサル(基本コンサルは怪しいです。自分で起業していない人から受けるコンサルに意味は薄いと思います。)
彼らは、決まって、こう言います。 「無料です」「費用負担は、実質ゼロです」と。 しかし、その裏には、巧妙な罠が隠されています。
- 「実質無料」の罠: 高額なキャッシュバックを謳い、契約させ、しかし、そのキャッシュバックには「毎月〇〇人の紹介を出す」といった、達成不可能な、厳しい条件が、小さな文字で書かれている。
- 「抱き合わせ契約」の罠: 「無料で〇〇します」という言葉を信じたら、その条件として、「電力会社を、弊社指定のものに変更してください」「高速Wi-Fiを契約してください」といった、全く関係のない、高額な契約を、結ばされそうになる。
僕が、あなたに伝えたい、たった一つの、シンプルな見極め方 それは、「本当に、お客様から支持され、売上が十分に立っている、優良な会社は、自分から、見ず知らずの相手に、営業電話などかけてこない」ということです。 彼らは、そんな非効率なことをしなくても、お客様からの紹介や、Webからの問い合わせで、十分に、成り立っているからです。
あなたの貴重な時間を奪い、あなたの不安を煽るような「営業電話」をかけてくる相手と、どうか、安易に、契約をしないでください。
また、ホットペッパー、エキテンなどからも電話がかかってきます。(これらは集客効果ありますが、クーポン配信で安売りを半強制され、質の高いお客様への集客が難しく、毎月4~5万のコストが発生します。年間50万ほどです。しかも、辞めたら集客できなくなるため非常に辞めずらいです。それなら、当ウェブサイトでも推している「格安ホームページ‐35万買い切り」のほうが圧倒的にコスパの良い資産になると思っています。)
6-4. このラボが、あなたの“羅針盤”でありたい理由
僕が、このラボを創った、たった一つの、シンプルな理由。 それは、「かつての僕のように、知識がないばかりに、悪質な業者に搾取され、夢を諦めてしまう仲間を、一人でも減らしたい」という、切実な願いです。 あなたの起業という、希望に満ちた航海が、情報不足という「暗礁」に乗り上げ、沈没してしまわないように。 このラボが、あなたの進むべき、安全な航路を照らし出す、信頼できる「羅針盤」でありたい。 それが、このメディアの、そして、僕自身の、使命(ミッション)なのです。
最後まで長い文章を読んでくださり、ありがとうございました^^
ーTatsu